2014年6月27日金曜日

Let it go!


 少しピークは過ぎたが、日本中でレリゴーが話題になっている。映画「アナと雪の女王」のテーマソング(?)である。日本語訳は、あるがままに、となっていて、松たか子の歌も大変素晴らしい。あるがままに、という言葉も色々な場面で引用されているなど、大変話題性のある映画であり、歌でもある。 今日は、この「あるがままに」の元の言葉のLet it go でお茶を濁したい。医療事情ではないが、若干関係することがあるので紹介する。

前回、補足(マグロ解体ショー)で紹介したが、先週、大阪で関西胸部外科学会という心臓外科医や呼吸器外科医、それに食道外科医が集まる地方会と雖も結構規模の大きな伝統ある会があった。幾つかの特別企画のなかに、海外で活躍中の外科医が若い人にメッセージを、というものがあった。海外留学している人は沢山いるが、海外で10年とか長く外科医として頑っている人は限られている。よほどの努力と決断がないと欧米の外科医と肩を並べてスタッフの外科医として臨床をするようにならない。佐賀近大教授(学会会長)が、Beyond the Boarder、という副題を付け、いわば片道切符で気概を持って出かけた人の話を聞こうという企画であった。心臓外科医としてはドイツと米国、呼吸器外科医(肺移植)としては米国、そして食道外科医は米国から、という4人であった。自分自身のこと(長居は出来なかった)を思い出しながら、凄いなー、と感心した。

さて、肝心の話は、表題のLet it go である。演者の一人が、米国で実験室から手術室に入って英語で苦労した中に、この言葉か出てきた。手術の助手をしていて、LET IT GO!と何度も術者にどなられたが、初めは何のことか分からなかった、という話である。これは私も経験しているが、血管とか消化管の吻合中(連続吻合という)に助手が糸の後ろを把持してフォローする(もつれないように、また適度のテンジョンで吻合がうまく仕上がるようにする)ときに、出てくる言葉である。要は、糸をいつまでも持ってなくて、離せ!である。待ちすぎると組織が切れたり、糸が切れたり、デリケートな手術を混乱させるので、タイミングが大事である。少し遅れると、離せ、と怒鳴られるのである。Let it goはいろんな意味で使われるが、いろんな場面で違った意味になる面白い表現である。ただ、手術中は、あるがままに、ではなく、離せ、ほっとけ、行かせろ、であって、悠長な話ではない。

私は映画をまだ見ていないが、  You-tubeで英語や日本語のこの歌を楽しんでいる。あるがままに、はかなり遠回しな訳であるが、キャラクターの口の動きに合わせるという条件もあったようだ。何れにせよ、Let it go、と聞くと私も昔の留学時代の苦労を思い出している。しかし、巷間どうしてレリゴーになってしまうのか、英語の発音の難しさの所以かもしれないし、その方が通じるのかもしれない。でも、レリゴーではなくレㇼゴーでは、ということで締めさせてもらいます。

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