早いもので、もう3月も終わりで、急に暖かくなって桜も開花、一気に春突入です。このブログも3月はあまり更新できず、低迷状態でした。近々、臓器移植について話す機会があるので、その準備がてらネットワークの資料を見ていて、気の付いたところを紹介します。
今年はこの3月までに心臓移植が12例と昨年より少し多いペースで行われているようです。さて、脳死で臓器提供も3か月で18件と昨年の同時期の16件より僅かに増えている。昨年の全体の脳死での提供数は丁度50件(過去最高)であったが、今年はそのペースを超えてくれるか、注目される。心臓移植数も昨年は37件とその前年と同じでしたが、今年は何とか50例に近づいてほしいですね。
さて、日本臓器移植ネットワークのニュースレターの昨年版を見ると、重要なことが表れている。それは、法改正後、脳死での臓器提供は確実に増えていますが、心停止での提供と合わせるとあまり変化はしていません(後の図参照)。心停止での臓器提供、これは主に腎臓提供となりますが、極端に減少しています。この心停止での提供とは、基本は脳死なのですが、本人の意思表示を示すカードなどがないため家族の承諾で心停止の後で腎臓の提供がなされる場合が主です。心停止での提供が少なくなると腎臓移植にとって大変深刻な問題となっています。
ここで理解しないといけないのは、大きな意味での臓器提供に至った脳死患者の数はここ何年も変わっていない、あるいはやや減少しているということです。これは、心臓移植が増えてきたといても、臓器移植全体にとって提供数は増えていないという大変厳しい状況でもあります。何か、根本的なところで臓器提供への社会の理解が得られていないか、あるいはシステムが悪いのかということになります。
もう一つの図では法改正後の本人の意思表示がどうであったか、家族の承諾だけでの提供はどうだったのか、が示されている。即ち、意志表示なしが3/4を占めています。意思表示の仕方では、意思表示カード所持が19件、保険証での記載が18、運転免許証での記載が5、複数が5件、となっている。これは全体が201件での話で、如何に意思表示をしている人が少ないかが分かります。こういう状況なら、カード所持を叫ぶより、家族の承諾を得るような努力の方が実質的では、といった不謹慎な考えも出てきます。
とはいえ、意思表示をしておけば残された家族が苦労しなくていいわけで、やはりカード所持や健康保険証、運転免許証への記載を(ノーでもいいのです)してもらうような啓発活動が大事と思います。とはいえ、我が国ではどうして臓器提供が進まないのか、そこの背景の分析とそれに対応した策、システム作り、が必要でしょう。
以下、ネットワークの資料です。
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