昨日まで北海道札幌市で開催されていた日本胸部外科学会から帰ってきたところです。第70回という節目の記念すべき学術集会で、北海道大学の心臓外科・呼吸器外科講座の松居喜郎教授が会長で盛大に行われました。大通公園の近くの大会会場は隣合わせですが3つに分かれ、その中で9つの会場があり、ポスター会場を含めると10以上となっていました。聞きたい演題も沢山ある中での会場選びではやや混乱していました。私は特に発表も座長のような用事もなく、久しぶりに札幌を楽しでもよかったのですが、まあ半分真面目になって勉強してきました。私は札幌生まれで10歳までに過ごしたので、いつ来ても懐かしいのですが、今回はxx歳の誕生日と重なり仲間からお祝いをしていただきました。生まれ故郷での誕生日は何か心に沁みました。
さて、いつものごとく論点整理と課題解決に移りたいのでが、あまりそういった話題は残念ながら少なかったようです。あえて一つを言えば、新専門医制度におけるサブスペシャル領域をカバーする胸部外科学会としての役割が問われたということです。問われたというより、私が問題提起をしたのですが、心臓血管外科の新たな制度設計ではプグラム制で行くことがほぼ決まっていたのですが、この夏ごろの心臓血管外科専門医認定機構でそれをカリキュラム制、これまでと同じ、に戻していたのです。そういうことが評議員会や総会で報告事項として紹介されました。方向性の変更は大変遺憾なのですが、その決め方が上記の機構(胸部外科学会、心臓血管外科学会、血管外科学の代表が参加)で決めて、それぞれの学会は報告したらいいという仕組みであったことを改めて知り、びっくりしたのです。こんな大事なことを学会員には報告だけで済ます(説明はありましたが)ということで良いのか。新制度が始まろうとしている中で、また多くの議論がされている中で、こんな上位下達方式でいいのか、と問題提起をさせてもらいました。関係者の方から、盲点を突かれたという反応でしたが、どうなるでしょうか。
専門医制度が新しくなるのは来年度からで、いわゆる内科や外科、耳鼻科、眼科、などの基本領域(1階)はプログラム制で準備が出来、10月から各プログラムでの募集が始まります。対象は卒後2年間の初期臨床研修が終わる人たちです。ある程度の定員制ですから初期研修制度のようなマッチング方式になりますが、どう進むか大変注目です。これがうまく進まないとその後の全体構想に大きく影響しますから、関係者はピリピリしています。一歩間違うと、官製(管の管理)制度になるからではないでしょうか。医学会(界)はここが踏ん張りどころで、関係する学会は自己保身ではなくこれからの若い医師をどう育てるかを第一義に考えて欲しいと思います。自己反省も踏まえてです。
学会のなかで面白かったのは、私が20年位に発表した手術方法を使っての発表がありました。肥大型心筋症の手術ですが、内視鏡を使った応用でそれまでアプローチに限界があったところを克服していました。特にコメントはしませんでしたが、きちんと私の論文を紹介してくれていたので満足でした。また、古巣からの発表では、小児の心臓手術で大血管転位症へのスイッチ手術(ジャテーン手術)の長期遠隔報告があり、もう30年くらい前になりますが、この手術の導入早期の症例が無事成長し成人になっているのを確認できたのは嬉しかったことの一つです。
といったことでいろいろ有意義な学会で、楽しめました。今回は札幌郊外へ足を延ばすことは出来ませんでしたが、冬には学会とは関係なく出かけたいと思いながら帰ってきました。今週は衆議院解散で世の中大騒動ですが、学会中は北海道のニュースが見れたので興味深かったのです。その中で横道孝弘氏が政界から引退するというニュースもありました。衆議院議長も勤められた北海道屈指の政治家ですが、実は小学校の1年先輩の方です。勿論、小学校時代の記憶はありませんが、同窓としてご苦労さんでしたと申し上げたいです。これで今月も目標?の3つ目を投稿出来ました。
ここ写真は札幌ではなく、静岡県のお寺のお庭です。学会前に遅い夏休みで出かけてきた時の写真で、このブログの背景にも使っています。