最近の新聞記事には海外からの旅行者向けに簡単な説明用の英語を知っておこうという動や、日本の英語教育についての課題、といった内容の記事が目に付く。日本人はなぜ英語が話せないということで様々な意見や学習広告が目に付く。この点について少し私見を述べてみる。特に目新しいことはないのであまり期待しないで頂きたい。
英語教育現場ではなく一般社会での話でいうと、新聞やTVなどのマスメディアの問題が大きいと思う。まずTVでは、ニュースや特集番組での海外の方の話を字幕ではなく日本語に吹き替えることが常態となっている。少しでも外国語、特に英語に馴染もうとすることには逆効果である。字幕が見難い方もおられるとは思うが、若い人たちには勿体ない話ではある。映画も、吹き替えでなく字幕版をもっと増やせばいいと思う。こういう吹替文化は、若い人の外国語力を低下させているのではないのか。
NHKニュースでの英語の吹き替えはそう多くないかもしれないが、一般的にNHKとしてのスタンスにも問題があるのではないか。公共放送だからと言って、英語教室ではなく一般の放送での話であるが、nativeの英語の話に親しむ機会を少なくしてはいないか。TVではニュース以外にも特集番組があるが、先日はNHKで金融工学の話があった。一つのサンプルと思うので紹介する。米国のこの分野の先駆的人物の紹介があったが、名前はカタカナが多く、英語併記が少なかった。呼び方も従って日本語である。後で述べる新聞もそうであるが、カタカナと英語は全く違う言葉で、特に名前の発音では日本のTVで聞いた名前では海外では通じない。 その番組でのキーワードにtruthがった。 画面では英語で書かれているが、ナレーターはツルース、という。 thの発音相当するものがないから仕方がないが、これくらいは正確に言ってほしい。発音、イントネーションでは、フロリダのOrland も最初のオーを強調するか後のランドのラをそうするのかで全く違うことになる。前者では通じないわけで、海外のニュース担当者も英語ではそう言っていないが日本語となると日本人しか通じない発音にしてしまう。発想が、英単語はまず日本語に直す、ということであって、英語で伝えるという考えがない。マクドナルド、コープ、インターネット、しかりである。若い人で海外に出かけよとする人たちは、その違いを知っておくべきである。
新聞もこういう意味では弊害になりかねない。海外の方の紹介では、名前の英語併記はごく限られている。それは字数の問題よりも縦書きにあると思う。何故日本は縦書きと横書きが並列して行われているのか。学校の教科書では国語や社会では縦書きである。無論、漢字文化であるからしょうがないといえばそうであるが、中国(台湾は縦書きらしい)は横書きを採用している。但し、英語名はアルファベットではないようである。日本の一流紙も部分的には横書きのコーナーもあって、ここでは英語表記は容易である。縦書きの英語は意味がないのでやらない、で済ましているのでは。米国大統領も、トランプ、では通じない。名前だけではなく、国際的なニュースでの英語表記は、いつもではないが、時に書くことも大事であろう。ニュース等での注目される言葉の解説は横書きコーナーにしているから、心配ご無用、というかもしれない。しかし、要は、英語(外国語)に親しむ、という視点がメディアには欠けているのではないか。我が国の縦書き文化と海外の横書き文化との違いは大きいと思う。伝統文化は別にして、情報伝達としては考える余地があるのでは。どこかの新聞が、10年後には横書きにする、と宣言してくれないか期待しているところである。勿論、日本特有の文芸・文化は縦書きでないと話にならないが。
こんな戯言が若い人には通じない、とすればそれが問題か。最近、英語力が落ちている中で、海外映画も字幕版を見るようにして儚い努力をしているが、日本文化にどっぷりと浸かってしまっている頭の中では英語力の退化は避けられないと自覚している。
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