2020年8月7日金曜日

心不全療養指導士制度が始まります


コロナ騒動で明け暮れているうちに8月になってしまいました何か書こうと思ってもコロナコロナでは息が詰まりますし我が国の対応を見ていてもいっこうに新しい道を開けずに堂々巡りでほとほとあきれて何か言う気持にもなれませんということで今月が話題を変えてみます. Covid-19で学会が軒並み中止かあってもWeb開催です先般も3月から8月に延期された日本循環器学会総会では幾つか興味あるセッションを聞いた中で一つ紹介したものがありますそれは私が現在取り組もうとしている心不全地域連携であり心不全緩和ケアに関係するものです.

今回紹介したいのは日本循環器学会が中心となって立ち上げようとしている心不全療養指導士制度です一昨年でしたか循環器疾患(脳卒中を含む)対策特別法が成立した後の関係学会としての対応の一つです病院地域在宅における慢性心不全患者への支援をサポートする学会認定制度で多職種連携に加わる新たな資格制度です心不全パンデミック時代において心不全チーム医療を支え増悪と再入院を少なくしQOLの改善を目指すものです. 2021年度から開始するので今年に最初の試験を行うのですがCovid-19の影響でオンラインになったようです.
具体的なことでは医師以外の医療専門職が各々の専門職が持つ専門知識と技術を活用しながら心不全患者への適切な療養指導を行うと謳われています受験資格は看護師保健師理学療法士作業療法士薬剤師管理栄養士臨床工学技士社会福祉士公認心理師歯科衛生士の国家資格を有するというのが資格の基本ですそしてその他の条件には日本循環器学会会員(正会員準会員)で年会費を納めていること現在心不全療養指導に携わっていることなどです. E-Learningでの研修も必要とのことです来年度からどういう方々が資格を取って心不全チーム医療に参加するのか楽しみです.
ということで心不全特に慢性心不全で在宅管理が必要な場面での活躍が期待されると思いますしかしこの玉虫色の制度も実際に根付くにはかなり年月が必要でしょうこれだけ多彩な専門職の参加で一体チームはどうなるのかやはり次はこれらの方々からコーデイネ-ター役が出るのでしょうかまた既に看護師には心不全認定看護師があります心不全ケア領域で看護師に二つの認定資格が混在することになりどう棲み分けるのでしょうかまたこの資格を持った人がチームに加わると診療報酬加算が付くのかも大事なことです心不全ケアチームへの参加する医療職者が増えチーム医療が発展していくでしょうがこのように沢山の課題も見えてきます資格筆記試験を通って認定された方が新たにチームに加わるには時間がかるでしょうし医師側がどれほどその役割を理解し育てていくかが問われます当面は現在動いている心不全ケアチームのなかの専門職者がこの資格を取ることで在宅管理を含め円滑な包括的なケアへと進むステップにはなることが期待されます.
私はこの制度の発展に期待する一人ですが一方で些かあるいは大いに失望したことがありますそれは受験条件のなかにある日本循環器学会会員資格です医師の専門医制度でも学会資格を強要するのは時代遅れであるという指摘が長らくあるなかで実際は学会認定制度が続いています更新要件でもしかりです学会は専門医制度で経済的に潤い勢力を強める構造はポストコロナ時代でも続けるのでしょうかそういうなかで心不全療養指導士制度では真っ向から学会所属(会費納入)を基本条件にしています個人的には大変残に思わざるを得ません一歩下がってスタートは仕方ないとしても, 5年の経過措置とする位の度量はないのでしょうか. E-Learningや教育ツールの使用や試験には自己負担も必要でしょうがこの資格を取れば会費無しで学会に参加出来るようにするとか継続教育に参加出来るかとか天下の日本循環器学会においてこの英断が何故出来なかったのか一度幹部の方に聞いてみたいと思っています.

宝塚地区の心不全地域連携プロジェクトもCovid-19で立ち遅れていますがそろそろ動き出すようですしかし感染者がまだ増え続けている中でどういう動きをするかが現場に問われています停滞をコロナのせいにしてはいけないと思います逆にこの時こそWith Coronaでもって前に進むことが必要と感じています.

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