また学会の話ですいません。
6月12日から15日まで米国はシカゴでの米国人工臓器学会(ASAIO)に参加してきた。この学会は、人工腎臓、人工肺、そして人工心臓に関する国際的な貢献をしてきた歴史ある学会で、若いときはよく演題を出した時期もあったが、最近はしばらくご無沙汰であった。補助人工心臓も植込み型が日本でも保険適応になるなど時代が変わってきたことや、幾つかの新しい機種も登場してきているので、キャッチアップもかねて出かけてきた。シカゴはイリノイ州のミシガン湖沿いある大都会で、最近ではオバマ大統領の出身地として知られている。サンフランシスコからさらに4時間かかり、天候も荒れていたのか予定より2時間ほど遅れて夜10時頃の到着となった。
この学会は、日本からは医学・工学系の若い基礎研究者が何人か演題を出して出席していた。ポスター発表とともに、口演もあるが、トピックスごとのパネルが沢山組まれていて、臨床の課題や進歩がまとめて聞ける。学会前日は小児の循環補助(人工心臓や人工肺)のセッションが組まれていて、日本でも小児用の人工心臓(対外型、ドイツ製)が導入されつつあるので、関心があった。とはいえ、この世界では、開発から臨床試験,保険適応までプロセスをどうするかが我が国以上に懸案事項であり、特にNIHとFDAが連携して積極的な取り組みがあり、特に植込み型の永久使用では大きな成果を上げている。安部政権が謳っている日本版NIH構想もあり、最近の動きが注目された。写真は、九州大富永教授、前東京医科歯科大教授高谷先生、ヒューストンのMotomura先生です。
小児用人工心臓の開発は訳5-6年前にNIHが動き出し、総額23.6億の予算出して、4つのプロジェクトを支援してきた。その経過が報告され、名前が面白く、PumpKIN,小児ポンプをモジッテいる, 前臨床 Programとされていた。そこで生き残っているのが、唯一Jarvik2000小児用であった。大人用は可って阪大で試験的に導入し、先般臨床試験も済み、最後のPMDA(医薬品医療機器総合機構、和製FDA)の審査が残っているが、その姉妹型である。これから世界の20か所くらいで臨床試験が始まる。結果が出るのは4-5年先であるが、体外式ではなく植込み型なので大いに期待される。ただ、我が国はその仲間にないっていないのが残念である。写真の真ん中が小児用。
学会はかっての肝臓や膵臓、腎臓もそうであるが、代謝系の発表が少なく、殆どが循環器ないし肺が対象で、ここでも植込み型補助心臓の勢いが感じられた。特に、移植へのブリッジ以外ん永久使用(Destination Therapy)が一般化しているかなで、新しいデバイスが登場しているし、完全人工心臓の小型と駆動装置のポータブル化を果たした Syn Cardia(写真)が良い成績を上げていた。かって、Jarvik博士が開発した完全人工心臓Jarvik-7が世界で最初に人に使われたのが1982年で、それから30年たってその子供型が出てきている。この世界は10年では何もできないことを物語っているようである。
人工心臓以外で面白かったのは、透析療法で、米国では在宅透析(夜間透析)が進みつつあり、それが種々の健康面で好結果をもたらしているという講演があった。その紹介は次回に。
シカゴでは学会にベッタリではなく、エンジョイも、ということで、食べる方は控えて、コンサート(シカゴフィル)
・Wagner Siegfried’s Rhine Journey and Funeral March from Götterdämmerung
Beethoven Piano Concerto No. 4
Bruckner Symphony No. 1
・Wagner Siegfried’s Rhine Journey and Funeral March from Götterdämmerung
とレンタル自転車(ロードバイクです)で楽しみました。
前者はムーティ指揮のワグナーとブルックナーを、自転車はミシガン湖沿いの専用道路で一走りでした。