このきっかけは一般薬の販売について規制をかけた厚労省の条例が最高裁で否定されたことによる。安部首相は一部ではなく一般薬すべてに広げることで薬業界の活性化を図っている。そもそもこれにはネット販売を手掛ける一部の薬販売企業の思惑もあったであろうが、その背景についてはもっと奥深いのではないか。一般薬の製造から販売までの流れが大きく変わるのではないか。ということで薬店業界に大きな影響が出るのは必至であろうし、薬販売での経済効果はあると思われるが、その流れは一般薬に留まるであろうか、危惧される。
街のドラッグストアーは相変わらず赤いどぎつい看板と店の前に日曜雑貨品を並べている。こんな所、といっては失礼かもしれないが、6年制薬学部を出た若い薬剤師が働いているにかと思うと複雑な気持ちになる。ネット販売と共にドラッグストアーも活性化するであろうが、ここで調剤薬局の姿が気になる。調剤薬局の役割がより専門性の高い所に行くのであれば、また薬剤師への社会の信頼度が上がる結果になればいいが、そこが懸念される。この規制緩和策の作成に薬剤師団体の意見はどう反映されたのか。企業マインドが優先しているように思う。
この規制緩和計画にはサプリメントなどの健康食品への取り組みもある。まだ勉強足らずで解説は出来ないが、この分野も健康と医療、という話ではもっと経済効果はあるのではないか。しかし、薬はやはり薬であり、一般薬と雖も軽々しくネット販売で手に入るのはどうかと思う。医療と規制緩和、経済活性化は両刃の剣、のリスクがあると思う。専門医制度について広告できる制度を厚労省が作ったときに、認可団体の外形基準を設定するだけで、中身のないものであった。それまで関わってきた専門医の団体が意見を言うと、時の課長は、規制緩和ですよ、皆さんそういう希望ではないのですか、と発言していた。経済とは無関係の場面であるが、この規制緩和は結局上手くいかず、今になってやり直そうとしている。医療における規制緩和は混合診療の話もある。今回は、薬剤師の教育にしばらく関わったものとしてのネット販売へ解禁への意見、感想?、を書かせてもらった。