2014年2月24日月曜日

ソチオリンピックも終わりました

   ロシヤのリゾート地、ソチでの冬のオリンピックが終わりました。日本選手団はメダルが8個と大健闘。金メダルはフィギャースケートの羽入の一個で、高梨沙羅や浅田真央が加われば最高だったでしょう。個人的にはジャンプの葛西が41歳で個人の銀、ノルデイック複合の渡部暁斗も素晴らしかったと思います。また、ボード大回転での竹内智香は知る人ぞ知る選手でしたが、銀メダルは意外性もあって大変受けていました。また、若い世代が出てきていることも今後に繋がるものではなかったでしょうか。

    各選手が人生のすべてをかけるくらい頑張ってきたオリンピックの場ですが、世界の壁には打ち勝つことが出来なかったり、不本意な結果になった選手も多い中、各選手が精一杯戦う姿は感動的でした。オリンピック自体は国対抗ではないとは言え、団体戦はまさに国対国の勝負であり、個人も国の代表ということもあり、スポーツの祭典とはいえ愛国心が急に日本中に広がり、日の丸が振られ、自分の国や地元を見直す機会になったのではと思います。とはいえ、外にばかり目が奪われていては国内の大事なことが知らないうちに決まって行く、という事もあり、これからの経済がどうなるか、行き詰った国際関係しかり、さらに安倍政権の方向性、などにも注意が必要であると思います。
 

    先般の大寒波の影響で、いまだに大雪による被害も続いていて、生活や交通での復旧が待たれる地区も多く、冬の自然災害への対応の弱さも露呈しているようです。医療事情ということでは大雪の時こそ救助ヘリの活動が大事でしょうが、どういう活動があったのか、知りたいところです。地域医療を担っている医師や医療スタッフもきっと大変な苦労をしながら、孤立知多地区の方々の命を守っておられたことと思います。

   先週、熊本で心臓血管外科学会があり出かけてきました。私は、新たに始まる専門医制度についての特別企画の演者でしたが、心臓血管外科専門医の育成の仕組みが変わろうとしているなかで、多数の方が真剣に聞きに来られていました。新専門医制度については3月から新たな第三者機関である新機構が発足し、準備が始まるのですが、その機構の執行部である社員の構成や、学会の関与について、最後の詰めの議論が学会関係者と現在の専門医機構との間で進んでいます。又、報告したいと思います。

2014年2月16日日曜日

ソチオリンピックと日の丸


   ソチでの冬季オリンピックも中盤になって、日本選手のメダル獲得がやっと続きだして、大変盛り上がっているようです。昨夜の葛西選手のラージヒル銀メダルは凄かったですね。年齢といい、経歴といい、スーパ-メダルでしょうね、素晴らしい方です。レジェンドにさらに磨きがかっかったようです。

ネットを見ると、竹田JOC会長が選手に注文をつけているのが話題になっているようです。予選落ちした選手が終わったとのコメントで、思い出になったとか楽しかったとか、ヘラヘラ言うのはけしからん、といった趣旨の発言のようです。要は国費を使って国を代表しているので、個人の感覚での発言は慎むように、国の代表という自覚を持つように、ということのようです。ごく一部の選手の言動が気に入れられなかったのでしょう。これに対して陸上選手であった為末さんが苦言を呈しているのが受けているようです。国費は他の国に比べかなり少ないうえに、個人の努力が大きい背景を知るべき、という趣旨が共感を呼んでいるようです。国威がかかるオリンピックですが、所詮は個人が出す結果であり、かっての東欧やソ連とは違うとも言えます。しかし竹田会長の言いたいことも分かるところです。

今朝のTV番組は有力選手の紹介とともに、お涙頂戴式の個人(家族)情報を流したり、試合結果だけでは場組が持たなくなるのか、スポンサーの意向か、メダル、メダルとキャスターは叫んでいます。あるコメンテーターが、期待の選手が負けたような時に、「メダルを逃した」、という言い方は良くなく、禁句にして欲しいと言ってました。同感ですね。メダル獲得には素直に喜ぶべきところもありますが、オリンピックとなると、メダルを取らないと責任をとれ、といった雰囲気に違和感を持つ一人です。TVNHK始め異様なくらいの力の入れ方ですから、日本選手のメダル獲得への過剰な期待が作られて行っています。選手の地元では、市役所とか公民館で家族を前に座らせて、全員が日の丸の必勝と書いたハチマキをしめての応援が何度も放映されます。どこも同じ画像です。ご家族は自分の家で身内と一緒の観戦も出来ない訳です。画一的です。

オリンピック開始前ですが、選手の壮行会では、白地が寄せ書きの名前で埋まった日の丸が渡たされます。それをソチの会場で振られているのが世界に放映されています。かっての戦争の時のような悲壮感が漂っています。太平洋戦争とオーバラップさせる海外の方もおられるのではないでしょうか。

大学の時のブログでも書いたことがあるのですが、日の丸は国旗であり、応援の寄せ書きに使うものはない、と常々感じています。今回も会場で、寄せ書きで汚れた(私はそう思います)日の丸(国旗)、を振っている応援の方がおられます。国旗に選手の名前を書いて応援している国も無いことはないのですが、珍しいでしょう。直接応援に行けない人がほとんどですから、何かしらのメッセージを書いたり、自分も其処に行っている、という感覚なのでしょう。でも、E―メイルもあり、もっと他の方法での応援が出来ると思います。もっと自由な雰囲気で選手を送り出して、後は選手に任せて楽しく応援できないものでしょうか。

普段は日の丸の存在は意識していない年代が多くなり、応援旗みたいなものなのかもしれませんが、国旗は国旗でしょう。白地は白地であってこそ日の丸が美しいのです。竹田会長には言って欲しいと思います、日の丸への寄せ書きは止めようと。

この後も、日本人に頑張って欲しい種目が沢山あります。楽しみです。

2014年2月8日土曜日

大寒波

       今朝は全国的に大寒波襲来で、関西もうっすらと雪化粧のようです。でも、こちらは先程から雨に変わっています。いっそのこと、雪になってくれるほうが何か楽しいのですが。 実は、今日から長野行きなので新幹線がどうなるか気がかりです。長野の行き先は白馬の北側、栂池高原です。当然ながらスキーなのですが、阪大の体育会スキー部には同窓会に今は60歳から70歳くらいになった年代が集まる会がって、その卒後?40周年記念会です。学生時代に合宿をしていた栂池で再会、という話です。私はそのグループのまたOBですが厚かましく参加します。アルペンとクロスカントリーのタイムレースも企画されています。雪はもう降らなくていいですが、天気になって青空の下で昔を懐かしみたいと願っています。

  前回の話の中で
STAT細胞のこと触れましたが、最初SMAP細胞と書く情けない間違いをしました。特に意味はなく何とはなしの話です。さて、理化学研究所小保方晴子博士(新聞ではさんですね)がマウスの細胞ですが周りの刺激だけで万能細胞ができたという、大発見(発明?)でした。Nature 誌に発表されるものが全て同じ扱いにはならないなかでどういう意義があったのか。勿論、それ自体が衝撃的であり、常識はずれであったわけですが、ニュースバリューを高めたのは、iPS細胞の向こうを張る、あるいは否定するかもしれない大きな可能性があることでしょう。ただ今回は、それ以外に主役が医学者ではなく化学系の若い魅力的な女性で、博士をとって3年目、ということが大きかったようです。マスコミも理系の女性研究員、リケジョ、を盛り上げています。研究現場で頑張っている女性研究員への応援にもなっていて、今年の入試や理系学部の卒業生の行き先にいい影響が出ればいいと思います。医学生理学の分野に化学系(工学系)が堂々と入って成果を上げたことも大きいと思います。昨晩のTVの番組で、指導に当たった東京女子医大の岡野教授(工学博士で再生医療のリーダー)もおっしゃっていましたが、分野の融合の妙というか大事さを示した功績は大きいでしょう。

ではNatureの論文を見てみますと、

Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency.


Nature Volume: 505,641–647 (30 January 2014) Pages:
  

  ということで、小保方博士が筆頭著者で、ハーバード大学とブリガム・ウイメン病院(バカンティ先生所属)と神戸の理研、東京女子医大、山梨大、です。連絡( 責任)研究者(corresponding author)は小保方博士とCAバカンティ先生の2名で、投稿は10 March 2013 で アクセプトが 20 December 2013 , 9ヶ月ほどかかっており、オンラインでは29 January 2014公表、となったものです。ですから、アクセプトから世に公表まで1ヶ月ほどたっていいます。 

バカンティ先生は麻酔科の医師で組織工学(テイッシュエンジニアリング)のオーソリティ、バカンティの耳(マウスの背中にヒトの耳介が乗っているもの)で有名な方です。日本の心臓外科の若手も沢山勉強に行っています。という研究室ですから、ハーバードのグループはMITと連携するなど工学系と密接に連携している強力な背景があります。そこで、この研究は既に長く続けられていて、小保方さんはそこでこれまで持っていたアイデアで成果を上げたということでしょう。素晴らしいことです。なお、バカンティ先生がSTAP細胞の将来について別の幹細胞の雑誌でのインタビューもありました。英語ですが紹介しておきます。

http://www.ipscell.com/2014/02/interview-with-charles-vacanti-on-stap-cells-link-to-spore-stem-cells-more/ です。

さて、特許は昨年に既に出願されています。やはりやることが凄いですね。

GENERATING PLURIPOTENT CELLS DE NOVO  

発明者: VACANTI CHARLES A [US]; VACANTI MARTIN P [US]; KOJIMA KOJI [US]; OBOKATA HARUKO [JP]; WAKAYAMA TERUHIKO [JP]; SASAI YOSHIKI [JP]; YAMATO MASAYUKI [JP]

出願人 BRIGHAM & WOMENS HOSPITAL [US]; RIKEN [JP]; UNIV TOKYO WOMENS MEDICAL [JP]


 今日はやつけですが
STAP細胞の登場の側面的なことを書かせてもらいました。人での可能性とかその役割とか取りざたされていますが、その後のニュースでも分かるように、ハーバードでは実際は既にかなり先まで見越した研究がかなり進展しています。発表の後でほかの研究者がちょっとやそっとでは追いつけないくらい先を行っているようです。神戸からまたまた凄い研究が出たことは同じ島(ポートアイランドです)の人間として嬉しい限りです。 割烹着の似合う小保方博士にエールを送ってここは終わります。 大雪で交通の大混乱が起こらないように願っています。
追伸. 新幹線、しなので、何とか松本までたどり着いたのですが、大糸線が動いてなくて松本で足留めになりました。9日は大丈夫で今から大糸線に乗ります。 

追伸2 その後は順調で、快晴のもとでOB会も無事終了。 写真は帰りに撮った白馬連峰です。2月でこんなに山がよく見えるのは珍しいということでした。青と白のコントラストが素晴らしかったです。