わが国のCOVID-19の感染拡大は止まることなく、都市部だけでなく地方でも患者数は急速に増加しています。7都道府県対象に非常事態宣言が昨日公示されました。これまでもそうですが、すべて遅くまた中途半端で、政府の無責任さには驚くほどです。国民の命と経済のどちらを大事にしているか、国のリーダーは何を考えているのか疑問に思わざるを得ません。兵庫県も日増しに感染者数が増えていっています。一般病院については、COVID-19対応は基幹病院にまかせて、置き去りにされる危険がある一般患者への対応を担うわけですが、一般患者や医療者で感染が出ると、まず感染者への接触医療者は2週間の自宅待機になり医療施設としての機能は大きく妨げられるのは明らかです。医療崩壊を防げと大きな声が上がっていますが、わが国では中小規模の病院が非常に多いという構造がこのような危機状態でその弱さが露呈しています。集約化が出来ていないから、医師も看護師も分散してしまい個々の現場で不足してしまうわけです。これは今言ってもどうしようもないわけですが、PCR検査体制を抜本的に強化することでこの問題は少し改善するのではと思います。PCRをやたら行うのは弊害が大きいとする意見はもう通じない状況といっていいでしょう。
さて、このCOVID-19の移植医療に及ぼす影響は深刻で、世界の臓器移植、幹細胞移植(骨髄移植)の学術団体は積極的にメッセージを出しています。それは、移植を受けた方は免疫抑制療法下であり感染リスクが高く肺炎になれば致命的であること、移植待機患者は臓器不全で抵抗力が落ちていてウイルス感染にかかると重篤になること、であります。さらに深刻なことは、臓器提供側にも影響が及ぶことです。即ち移植希望者への移植の機会が減ること、が危惧されます。このドナー側(提供側)の問題は二つあって、一つはドナーがCOVIDF-19に感染していないことを確認しないといけないこと、もう一つは臓器提供の主な役割を果たす救急医療施設がCOVID-19対応で忙殺されていて通常であれば行える臓器提供へのステップへの選択肢が下がること、であります。脳死での臓器提供の可能性があっても、このような普段とは異なる状況が生じることで、提供に至らないケースが増えるのではないかと危惧されます。
臓器または造血幹細胞の提供候補者へについてのCOVID-19感染について、厚労省から2020年3月5日付けで通知が出ています。もともと提供者についてはウイルス感染有無の検査が法律で義務付けられ、ウイルスによっては陽性ならば候補除外になっていますが、この度COVID-19も対象に加えられたということです。疑いがあれば情報収集(検査)を強化し、疑いとする要件に該当すれば移植に用いない、という通知です。先般、著名な芸能人がこの肺炎で死亡された時に、遺族が遺体に会えなかったことから、この状況の深刻さが窺われます。
実際、臓器提供がどうなっているかを日本臓器移植ネットワークのHPで調べますと、今年になってからの脳死での臓器提供数は、1月7件、2月9件と、昨年と同様に増えている状況が分かりますが、3月は4件、4月は現在まで1件と、まだ分かりませんが提供が減っているのでは思われます。移植待機中の患者さんにとって、ご自身が移植を受けられる猶予時間が刻々と短くなっているなかで、今の状況は本当に辛いと思います。何とか早く収束して、臓器移植がまた元の状態戻ってくれえることを切に願うばかりです。
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