2020年12月24日木曜日
今年の振り返り;その他
新型コロナウイルス感染蔓延で世界が翻弄された2020年も後1週間ですが, わが国でも感染の勢いは止まるところを知らずに日々拡大しています. 問題は重症例や死亡例が増えてきていることで, 医療現場は対応に限界があり医療体制が逼迫していると連日報道され, 日本医師会はじめ地域医師会も医療提供側の窮状を訴え, 現在の感染の歯止め施策の不備を訴えています. 私の病院でもno Covic-19ではなく, 柔軟に対応し回復期の患者の受け入れ態勢や, 自前のPCR検査の導入も始めています. 疑わしい患者や回復期患者の受け入れは, 職員を一層厳重に感染から守ることができないと実現しないわけで, 中小一般病院としてのコロナ対応の役割は依然として足元が盤石ではないことも知るべきでしょう.
さて, 今年の振り返りですが, 何といっても最大の出来事は職場が変わり心臓外科医から心臓内科医に変身(転身)したことでしょう. このことは既に紹介していますので, その後の経過は折に触れて書かせてもらいますが, 心不全ケアのハートチームへの立ち上げを宣言してから約3か月, やっと, というか早くもというか, チームも立ち上がり, ハートノートの運用も試行錯誤の中で始められたことは, 病院の多職種連携のへの体制が既に構築されていたことが大きかったと思います. 2週に一度の症例カンファレンスも始まって, 何とはなく形が出来つつあるといったところですが, 高齢, 独居, 低い活動性, 認知機能低下, 合併疾患(糖尿病, 高血圧), 摂食嚥下障害, などが慢性心不全の状況を複雑にしています. このような対象への心不全地域ネットワーク作りが果たして可能なのか自問自答しながら, ここで出来ることは何か, 何かあるはず, という視点でこのプロジェクトを進めて行けたらと思っています. 来年4月ごろには少しは形になって成果が出てきたことを紹介できればと思っています. 乞うご期待というほどのものではありませんが.
学術活動としてはコロナ自粛のおかげでじっくり机に向かうことができたことで, 昨年の11月でしたか, 大阪で行われた国際人工臓器学会で会誌(Artificial Organs*)編集長からオファーをもらった依頼原稿, Pioneer Editorial, を書き上げたことです. 晴れがましいタイトルですが, 日本の補助人工心臓と心臓移植のこれまで(といっても2010年くらいまで)の発展を纏めたものです. タイトルの副題に, How people workedとしてオールジャパンとしての成果を紹介しました. 1ページ目だけ紹介しますが, 一緒に写真映っているのはECMO装置で, この装置は1990年頃から阪大で簡便な心肺補助装置の開発を進めていたのですが, PCPS(経皮心肺補助)という名前で世に出しました. 今回のコロナ禍で呼吸補助としての役割で注目され, ECMOとして広まっていますが, 懐かしい思いでもって背景に使ったという裏話です.
余談的なことでは, 今年はYouTuberになったことでしょうか. 外科手術トレーニングについてはシミュレータ―を用いる方法が学生や修練途中の外科医を対象に広まっています. この領域について評価法の標準化や指導法の開発を目指し, 福島を拠点に世界手術教育フォーラムを立ち上げておりますが, そこでデバイス関係で大きな役割を果たしているEBMという企業であり, 今年はそこが主催して教育的放送,アカデミー,をYouTubeで始めました. その先兵として私に白羽の矢が当たり, 症例報告の書き方で登場しました. 興味ある方は覗いてください(< https://www.youtube.com/watch?v=EpwaVzzwt6A&t=329s&ab_channel=EBMCorporation). 症例報告が臨床研究のスタートであり, 終着駅でもあります. たかがcase report, されどcase report, といった感じです.
ということで, 後1本年内に書けるかどうか分かりませんが, 今日のところはこの位にしておきます.
*:Artifial Organs、総説の第一ページ
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