2014年10月14日火曜日

心不全と多職種連携によるチーム医療

 台風19号が日本列島を直撃しています。関西は明け方までに通り過ぎましたが、東北・北海道はまだ気が抜けない状況のようです。何とか落ち着いて美しい秋を迎えたいのです。さて、少しご無沙汰しましたし、生涯教育と旗を上げながら第二弾が出せなく申し訳なく思っています。
今回は看護師の生涯教育の話しをと思っていろいろ考えていたのですが、先週末に大阪で日本心不全学会というのがあり、そこでの話しにしたいと思います。この学会は第13回ですが初めは参加者も少なく演題も基礎的なものが多かったのですが、約10年前になりますがそれまで日本心臓移植研究会を2月前後の外科系の学会に併せて行っていたのを、循環器内科の方々にも心臓移植に関心を持ってもらいたい,と言うことからこの心不全学会との同時開催にしました。心臓移植研究会は今年でもう第33(年1回開催)になりますが、今回も心不全学会との同時開催しました。
日本心不全学会の創生期のことを考えますと隔世の感があるほど大変盛況になっていました。心不全への関心が高まっている証拠にコメディカルの方の参加が大変増えていました。その背景には、植込み型補助人工心臓の登場もありますが、心不全,特に慢性心不全の治療やケアにもチーム医療が必要,という現場の大きな流れが始まっていることです。心不全へのチーム医療、ということで今回の心不全学会では朝から一つの会場をそれにあて、プログラムには赤いハートマークを付けていました。そこには教育セッションもあり、口頭発表もありで,会場は満席で廊下や他の部屋で発表を流していました。チーム医療セッションでの主な参加は看護師ですが、学会の方に聞くと薬剤師やリハビリテーション(理学療法士)関係の方も多かったとのことです。
医療での多職種協同ということが広く浸透してきて、高齢者、在宅医療、終末期医療、などのキーワードと共に盛んに見受けるようになりました。慢性心不全治療やケア(終末期も含むのですが)でもその必要性が求められています。これからは医師(循環器専門医や心臓血管外科専門医)だけではなく、他職種のスペシャリストも加えた心不全チームが必要であると言うことです。勿論,心不全といっても大人から小児、急性から慢性、移植や人工臓器、緩和医療、など多彩な分野であり、それぞれに特化したチームも必要になってきています。
そう考えると各専門職は生涯教育のなかで、どうチームを作るのか、その中で自己の役割分担は何なのか、もしっかり自覚することも大事になってきます。以前、コアコンピテンシーということを紹介しました。医師の初期教育の目標に、医学知識も大事ですがコミュニケーション能力、自己研鑽の上での医療への参加、そしてプロフェッショナルの理解、と言うのがありました。このことは、どの職種(特に国家資格を付与された専門職)にも共通することと思います。そういう役割が出来る専門職資格(認定制度など)者を医療現場がどう支えるのか。職場での相互理解を支えるシステム作り、そして資格取得者への待遇面での支援、が今後求められるでしょう。 心不全という領域では,看護の認定看護師制度では、慢性心不全看護分野の認定制度があり、本年10月現在184名が認定されています。また、その8割が病棟勤務であることが特徴でしょう。看護師以外にも、薬剤師、理学療法士もこの分野で認定制度が動き出していることから、今後の活躍が期待されます。

ということで、心不全領域でもチーム医療が求められ、それを支える具体的な多職種連携が始まってきていることと、それを支えるのは各分野の生涯教育・認定制度の充実でしょう。今後の動きや発展が注目されます。

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