新型コロナ(Covid-19)で翻弄された2020年も残すところ3日となりました. わが国では依然として感染者数の増加が続いているなかで年を越すことになりましたが, ウイルスの亜型の出現と早々とわが国への侵入, 空港検疫での水際作戦の効果, ワクチン接種の見通しは, など不安材料ばかりですが2021年は収束が始まる年であって欲しいと思います.
さて, 今年のこのブログもCOVID-19の出現で皮肉にも生き返ってきた感があり, これまで2月のクルーズ船の検疫隔離の問題から始まり, 6月まで毎月の投稿で, 4月の2回を入れて計6報になりましたので, 今日はその振り返りをして今年の締めにしたいと思います. なお, 今になって振り返ってあれこれ言うことは憚れるし, あまり意味もないことですが, もう一度自分なりに振り返ることも大事と思いますのでご理解ください.
投稿のスタートは横浜のクルーズ船の集団感染についてでしたが, 今振り返ってみてクルーズ船の検疫体制は関係の方々のご努力である程度の防御効果はあったとは思われます. しかし, 初動作戦としては試行錯誤の段階はやむをえなかったとは言, 行政として, また関係専門機関として, その後の国としての対応はなんとも歯がゆいことばかりでした. 経済優先策をとったことから対応が後手にまわってしまったことは明らかでしょう. この投稿の最後は, 標準防御(standard precaution)の考えを広く社会に伝える必要があること, 船外でのアウトブレイクが起こらないことを願う, ということでした. 残念ながら後者は, クルーズ船というより他の水際作戦の不徹底からクラスターの多発に繋がっていったようです.
3月の第2報では, 今国が取るべき対応への私見を述べましたが, 国としての危機管理体制の強化, 情報発信の統一, ニュージーランド首相のメッセージにあるようなステージによる危機管理把握と国民への具体的周知を(これまでの大水害での経験がいかされていない), そして医療危機が迫っている中で全国に沢山ある国立病院(今は機構)が感染者対応で緊急的役割を果たすよう国は至急検討することでした. 旧国立病院にお出まし願いたいことは, 今まさに医療体制が逼迫しているなかで再度訴えたいことであります. 補足として, NEJMやLancetに新型コロナの新しい医学的情報が毎週のように出ているが, わが国からの世界に向けた情報発信は皆無ではないか, ということも指摘している.
そ の後は, 臓器移植(臓器提供)のことや感染者(疑いを含む)への心配蘇生の問題, 米国のICUでの家族の面会の話などでしたが, 改めて紹介しておきたいのは, 4月のNEJMの論文紹介です.
Ten Weeks to Crush the Curve. By Harvey V. Fineberg, M.D., Ph.D.
10週で感染拡大の勢いをとめよう, というものでした. 即ち,
1)大統領を補佐する統合指揮官に最大の力を与えること.
2)PCRを次の2週間で100万件.
3)医療従事者にPPE(個人用防御装置や器具)を充分支給する.
4)症状やリスク分析で5つの群分けをして対応する.
5)国民とともに戦う(inspire and mobilize the public).
6)実行しながらこのウイルス感染の基本となる研究を進める.
この中で今もわが国で肝に銘じるべきことは, PCR検査と5の国民と共に戦う, です. わが国ではこの期に及んでもまだPCR検査ばかり広めても意味がないとか, 今度は検査できるところを増やそう, 民間医療機関に協力依頼, などが続いている. 私がよく使う言葉ですが, ガラパゴス状態のわが国は, 良い面ではウイルス進入を抑える, 一方では現実の施策での世界とのギャップでしょうか.
6月は, ポストコロナ時代における発想の転換と働き方改革でした. この問題はまさに2021年に我々が何すべきか考える上での基本でしょう. 既にかなり進めている分野とのんきに脱コロナだけを考えている分野に二極化しています. ほとぼりが冷めたころには元に戻っていたでは済まされない問題です. 今年の締めとしては, このポストコロナ時代に向けての発想の転換と無駄なことは止める, 思い切った改革を, でしょうか.
ということで, 来年もお付き合いのほど宜しくお願いいたします. 新しい職場でのことは年明けに書かせてもらえればと思います. 皆様のご多幸とCOVID-19の1日も早い収束を願います.
2020年12月29日火曜日
COVID-19に明けくれた1年でした 投稿の振り返り
2020年12月24日木曜日
今年の振り返り;その他
2020年12月4日金曜日
今年の振り返り:移植関係
2020年も残すところ1月となりしたが、今年は新型コロナと共に始まり終息の気配も見えずに年を越しそうです。昨日は(12月3日)は大阪で赤信号が灯りました。現実になっている医療崩壊を社会が真剣に認識してもらう意味でも重要な決断です。 さて、8月でもって長らくなんとか続けていた心臓外科医に終わりを告げ、一般医療のある意味最前線ともいえる今の病院に変わりました。長い人生での一つの区切りでもあり、また真の終活への超えないといけないステップとも言えるかもしれません。余分に頂いた医師としての余生を、正に現在社会が抱えている問題が集積しているような医療現場で働かせてもらうことの有難さに感謝している日々であります。ということで、懸案というか関心事について今回と後幾つかで振り返ってみたいと思います。 Covid-19関係でまず気になるのは臓器移植領域で臓器提供がどうなったかです。救急現場がコロナ対応でそれこそ医療崩壊が危惧されてきたなかで、脳死ないしそれに近い状態で搬送されてきた患者さんや家族への対応など、ドナーコーデイネーターに聞きたいところです。現実として、今年の脳死下の臓器提供は11月まで66件、心臓移植は51例であることが日本臓器移植ネットワークJOTNのHPから見ることが出来ます。臓器提供が最近右肩上がりで年間の脳死での提供が100件に近くなり、心臓移植も80例に届くまでになっていた最近の傾向から見て、その勢いはやや減弱していると言わざるを得ないでしょう。しかし、難局の中でここまで維持されたことは、救急医療現場や移植関係の皆様の努力に、そしてドナーのご遺族に最大の敬意を表するものであります。
さて、この1年ほど学術的な活動、と言ってはおこがましいですが、少し振り返ってみます。論文投稿ではもう最後の最後でしょうが、二つありました。一つは昨年の今頃に日本移植学会学会誌に投稿したものです。* 心臓移植関係では臓器配分の基本ポリシー(Status-1,,2,3)が開始以来未だに改定されていない問題で、JOTNに依頼して待機中死亡についての分析をしたものです。待機中死亡を減らすにはまずは臓器提供を増やすことですが、それ以外に大事なことは待機中死亡の危険因子を分析し、臓器配分の仕組みを改定することです。このことは誰しも理解し、海外では実践されてきた歴史があります。私の論文はその背景を分析し、これからの道筋を書いたものですが、この問題提起が現場の関係者にしっかり伝わっていないというか、暖簾に腕押しなのか、期待する反応がないのが寂しい限りであります。難しい事項ばかり上げても前には進まないと思います.何か大きな壁があって(誰もわかっていること)を押し開けるエネルギーが欲しいというところでしょうか。 一方の米国では、UNOSが2018年に心臓の臓器配分で大きな改定を実施したわけですが、そのフォローアップ研究が最近の国際心肺移植学会雑誌に掲載されていました。** このUNOS-2018改定は、待機中死亡を減らすこと、地域格差(遠距離搬送を是正する)といった目的で、安定して待機している植込型補助人工心臓の優先度を下げ、短期使用の補助循環装置付きの患者(待機状態が安定していない)のを最優先にしたものです。新方式の妥当性を評価する報告がこの2020年に5つも出ていて、この論文ではそれらを全体で解析したものです。5つの報告はUNOSのデーターベースからとはいえそれぞれ異なった手法での分析ですが、旧方式と新方式を比較分析しています。結果は全体では新方式で一時的器械的補助手段が多く使われているのは当然ですが、早期死亡では3つの分析で新方式が劣っていたものの後の2つでは差がなく、一方で待機中死亡は減ったものが3であと2つは差がないといった結果でした。結論的にはこれからもUNOS-2018改定の現場に及ぼす結果の解析が必要としているが、そもそももう古い方式は採用されていないわけで、対照が後方視となるのは致しかたないでしょうが。
ここで言いたいのは新方式がどうのこうのということではなく、わが国では20年続いている制度の妥当性や問題分析を全国レベルで行っていないということです。背景にはJOTNのポリシー、個人情報の保護、にあるわけですが、担当学会や研究会の不作為の面があることは否めないと私は思っています。米国は年間心臓移植数が我が国の少なくとも50倍近くあることから、かかる分析もタイムリーにできる背景があるとはいえ、わが国ではどうにかならいかと思うわけです。待機中死亡のリスク分析は個々の施設では出てきているのですが、全国レベルでは出てきていません、AMEDの研究で動いているのかもしれませんが。 ということで、年末の反省会のような感じですが、その第一報にします。
*:松田 暉. 心臓移植登録患者の待機中死亡に関する全国調査—臓器配分システム改定への考察—. 2019;54(6):291-298
**:Varshney AS, et al. Outcomes in the 2018 UNOS donor heart allocation system: A perspective on disparate analyses. Journal of Heart and Lung Transplantation. 2020;39(11):1193-4.
2020年11月30日月曜日
高知市で日本人工臓器学会が開催されました
何時ものことながらもう月末,明日から師走,となってしまいました.ここ数日気温もかなり下がってきてようやくというか早くも冬の気配です.スキー馬鹿としては今シーズンこそ雪不足でないことを願っています.さて,Covid-19は一向に収まる気配もなく,というより第3波になって全国的に感染者数がこれまでを上回る状況が続いています.政府の方針が経済優先から抜け切れず,中途半端のままで,医療界からは医療崩壊がそこまで来ているという警鐘も出ています.兵庫県から大阪市へ通いながら高齢者が多い医療現場で一医師として働いている者として,危機管理においては正念場であると感じています. さて,今月に入って高知市で日本人工臓器学会が現地開催で行われました.高知大学医学部外科教授の花崎先生が会長で,その英断に多くが感謝し,これまでの巣ごもりのうっ憤を晴らすかのように結構の数の参加者があり盛会でした.好天に恵まれ,国宝の高知城も朝の学会前に訪問し,朝の散歩と気分転換になりました.この学会は医師以外の工学系研究者や医療関係者(臨床工学技士と看護師)が会員の半数を占めていますが,多職種連携のセッションも多く,活発な議論が行われていました.報告としては,サテライトで開催された研究会と本会での話題を少し紹介します.
前者の日本補助人工心臓治療研究会は愛媛大学の泉谷教授(心臓血管外科)が会長で,植込型補助人工心臓(VAD)の適応がいわゆる永久使用(destination therapy, DT)時代になってどう変わっていくのか,というテーマでいくつかの議論がありました.といってもDTはもう何年にも渡って開始前,と言いながら5-6年はたっています.ここに至ってようやく先が見えてきた(来年には始まる)なかで,移植へのブリッジとDTという近くて遠い二つの選択肢の合間にあるbridge to decision やbridge to candidacyへの植込型の応用の話が期待されたのですが,大方の関心はDTが来る,という雰囲気で私の興味は少数派であったようです. 一方ではDTを実際始めるにあたっての種々の課題も改めて浮き彫りにされたと思います. DTについては社会復帰,在宅管理,そして緩和ケアといったことを支援する社会的支援基盤がいまだ未成熟であることが改めて浮き彫りにされたと個人的には感じました.人工臓器学会でも議論しましたが,色んなところで多職種連携と言いながら現実には専門的人材の育成と雇用の面では整備不良感は否めず,コメディカルの積極的関与を支える医療現場(病院)では個人的努力に依存した現状は相変わらずという感じでした. 心臓移植で言えば,レシピエントコーデイネーター(RCT)については既に紹介しているように全国で認定者(学会関係)がたった10人という現状を移植医側が深刻ととらえていないことが問題です.この件については,先月にWeb開催となった心臓移植研究会の役員会でも提案したことですが,VADコーデイネーターという学会認定資格は400人近くの認定者の半数が看護師という現実があるわけです.入院中のVAD患者のケアですが,すべて心臓移植待機患者であり,レシピエントのケアをしているわけでRCTとははっきりと一線を画するものではないと思うわけです.先の日本循環器看護学会で報告したことですが,再度人工臓器学会の多職種連携のセッションで発言したところです.阪大病院看護部からVADコーデイネーターの専従をという訴えがあったことは,かかる状況が心臓移植施設では課題になっていることを示していると思われます.病院長や看護部長の決断が欲しいところです. 背景に看護師不足,という意見があるとすれば,一時代前に比べれば倍近くの看護師を擁している大学病院の言うことではないと思います.
人工臓器学会は花崎会長の英断で現地開催となってやっぱり対面での会話や議論が大事であるということは感じました.しかし,その後の小児循環器学会や循環器関連学会はすべてWeb開催となっています.感染の第3波が来ている中では,当分現地開催は無理で,開き直ってWeb開催での発表や意見交換の方法を改善することの必要性を改めて痛感します.最近届いた心臓血管外科学会雑誌で, 日本医科大学の新田隆教授は,Web開催やZoom会議ではIT技術を駆使して新たな時代を迎えるべきという趣旨のことを書かれています.そのなかで,Web議論もチャット形式ではかえって要点に絞った議論ができる,というメリットがあると指摘されていたと思います.これまで学会では,えてして無駄な議論や長々と持論を述べて肝心の質問は意味不明といったことが少なくないのです.IT化を進めるなかで,学会等での質問はポイントを絞って,論点整理をして,いい質問をするよう皆が心掛けるようになっていく機会が来たのではと感じます. ということで明日から12月, 師走です.コロナ第3波の真っただ中での年末になりそうですが,この1年世界が大変な危機に見舞われ,中でも医療では崩壊の危機が迫っているという現実を改めて認識し,年越しで忘れると言ことのないようにしたいです.いかにウイズコロナで来年を乗り切るか,頭の整理と発想の転換が改めて必要と思います. なお,病院内のハートチームは皆さんが頑張って何とかスタートし,ハートノートを渡す患者の選択が始まっています. いい雰囲気で進みそうで, 乞うご期待でしょうか.
写真は高知城です。美しい城壁と立派な天守閣(時間が合わず入れませんでしたが)でした。
2020年10月28日水曜日
日本循環器看護学会にて: 心臓移植レシピエントコーデイネーターと心不全看護認定看護師
10月も後半に入り関西も大分涼しくなってきました. 週末は好天続きで行楽地もかなりにぎわっているようで,先日は梅田界隈を少し歩いたのですが,何か特別の日なのかと思うくらいの人出でした. 新型コロナがまだ収束の気配が見えない中で社会活動ではかなり活気を取りもどしつつあるのかと思います. 特に小さな子供さん連れの親子が多く見られ何か心が温まる気がしました.
新しい働き場所勤務もそろそろ2ヶ月になりだいぶ慣れてきました. 心不全ケアチーム作りも看護部と共に始めていますが,チームメンバーを決めてもらって,ハートノートを見ながら準備段階です. 心不全の患者さんは結構おられますが,高齢,多臓器障害,独居,認知症,など一筋縄ではいかない方ばかりで,ハートノートを渡しても見てもらえるかどうか心配される方が多いので,まずは退院以後もフォローできそうな患者さんを選ぶことからは始めることにしています. 一方で,教材作りも大事で,心不全ケアチーム概要のpower pointを作り,解説付きにして病院の閲覧ファイルに入れたり,参考資料を配ったりなどを始めている段階です. 一方,近隣の大阪市立大学附属病院,府立急性期・総合医療センターなどの循環器専門医が集まる大阪市南地区の会にも参加し交流を始めました. この病院でのハートケアチーム作りはなかなかのチャレンジマターであり,遣り甲斐があると思っています. 楽しみがまた出来たというところです.
10月に入って学会活動も活発になってきたようですが,ほとんど,あるいは全てでしょうか完全Web開催になっています. 学会から特別講演依頼のあった10月上旬の第17回日本循環器看護学会(宇都宮明美京都大学大学院クリティカルケア看護学教授が会長)は京都開催で楽しみにしていましたが,最終的に完全オンラインになってしまいました. 講演自体は会場で話している雰囲気を出して40分ほどの独演会をさせてもらいました. 今日はこの学会の報告会とさせていただきます.
タイトルは,「心臓移植から見た心不全医療における看護師の役割と期待」,でした. 超高齢化社会と共に心不全パンデミック時代が到来しているなかで,心不全ケアには当然ながら多職種連携チームが重要で,そのなかで循環器に関係する看護師の役割を,心臓移植レシピエントコーデイネーター(RCo)と慢性心不全看護認定看護師について概説すると共に私見を述べさせてもらいました.
心臓移植RCTは日本移植学会が中心となり認定しているもので,始まって10年ほどになり,設立に関わったものとして注視していました. この機会に経過を調べたのですが,心臓移植のRCoは当初の認定者が10名でしたが,現在も全然増えていないことが分かりました. 増えない背景を考え,採用する心臓移植実施施設(移植施設は11)の病院の問題が大きく,看護部や病院長の支援が難しい事情があることも指摘しました. 心臓移植が年間100例に届こうとし,待機患者は800人を超え,移植後患者も400人はいる中で,全国で10名とは制度として成り立っていないと言えるわけです. ではどうしたらいいか. 私の提案は,移植施設がまず最低2名の心臓移植RCoを採用することです. 一方,植込み型補助人工心臓(VAD)の急速普及でVADコーデイネーターでもある人工心臓管理指導士(VAD-Co)制度が始まり,これまで400人近く認定されています. 移植施設とVAD管理施設(40以上ある)でVAD患者( 待機患者)のケアをしているわけです. その中心は臨床工学技士MEですが看護師も149人が認定を取っている現実があります. 即ち,この150人近くの看護師VAD-Coは心臓移植RCoの仕事を現場で支えている実態があるわけです. 心臓移植RCoの認定に高い壁があることから,このVAD
Co資格を取った看護師が認定RCo資格を別枠ででも取れるようにする道(認定要件)を作ることも考えるべきでしょう. 仲間を増やす策を考えることを提案しました. これはその後の日本心臓移植研究会でも提案したところです.
希少価値も大事であすが,医療では何事もスケールメリットが大事で,そういう意味では慢性心不全看護認定看護師はこれからの心不全ケアに重要な役割を果たすことが期待され、既に限られた施設ですが実働しておられます. しかし,ここでも認定者はこれまで400人を少し超えたくらいでおそらく需要から見て予測の半数にも届いていないのではないかと思います. 実際,近隣の基幹病院でも一人おられたらいい方で,複数の認定者がいる施設はかなり限られているようです. ここでもスケールメリットを生かすまでに至っていないのが現実ではないかと思います. 一方,ここで認定看護師制度に大きな変換期が訪れています. 特定医療行為の研修と合わせた新たな認定看護師制度が日本看護協会から発表されています.
より質の高い,治療(キュア)に関われる制度と思われますが,果たして認定者が倍増になるのか. ここでのバリアーは,すでに指摘されているように高額の受講料や認定料が個人負担であることと,数か月以上の研修機関での集合教育であります. その間,休職で参加したとしてもかなりに負担になるわけです. また,資格をとっても個人的なインセンティブはなく,モチベーションも湧いてこないのが現実のように感じられます. ここでもすそ野を広げるにはどうしたらいいか,ポスト(ウイズ)コロナ時代で集合教育をいつまで続けるのか,このタイミングでの関係者の制度改革への決断が問われるのでないか思います.
なお, 既に紹介した心不全療養指導士や既に動いている特別医行為研修修了者との棲み分け、差別化、についても私見を述べましたがここでは割愛します. このような部外者からの放談ともいえる講演となりましたが,どれだけ指導層に声が届くか,さらに現場の看護師や学会執行部がどう感じるか反応を聞きたいと思います.
私の病院での心不全ケアチーム作りの進捗は時々報告をさせていただきますのでご期待?下さい.
2020年9月16日水曜日
勤務病院が変わりました 高度医療から地域医療へ
新型コロナと猛暑で落ち着く暇もなかった夏も終わり,もう9月も半ばに入ってようやく涼しさが感じられるようになりました. しかし,コロナはまだ収束の気配も少なく,ウイズコロナに移行するにはまだ時間がかかりそうです. 一方,政局は姦しく,安倍首相の突然の辞任で新体制,菅総理,に移行しますが,コロナ対応に新たな動きがあるのか気になるところです. 持続型の対策が必要で,保健所業務の整理と強化も今後待たれるところです.
さて,今日は私の近況報告です. 勤務先が変わりました. これまでの宝塚市内の循環器専門病院から, 一転して大阪市内の一般地域病院に移りました. 西成区(メトロの四つ橋線,花園町)で古くからあった救急病院が, 名前が変わって思温病院(しおん)となっています. 西成区は大阪市の南西部で,古い方々には名前的にあまり良いイメージが浮かばないのですが,私自身は中学から大学卒業まで少し南の玉出というところにおりましたので, 違和感はなく,古巣へ戻ったという感じです.
この病院は阪大第一外科の呼吸器外科グループにいた挟間研至君(ファルメデイコ株式会社の社長でもあり, 日本在宅薬学会の創始者,「外科医薬局に帰る」の本人)が5年ほど前に理事長・病院長で参加し,広い人脈の下で頑張っています. 常勤医師も少ないことと,循環器診療も手薄なので, 何か役に立てればと思って自ら飛び込んできました. 年齢的に考えて,体力的にはまだ大丈夫なことと(?), 頭を切り替えるには今しかないと思ったわけです. 将来的には地域医療の現場で心不全ケアのチーム作りが出来ればと考えています. この病院は地域密着型で地域包括ケアと慢性療養病床を持ちながら,これに急性期病棟があり,高齢者も多く,これまでの高度医療や先進医療とは別世界です. まずは循環器外来を始めますが, 一般外来も担当するのでcommon diseaseの対応から勉強し直しです. 浦島太郎かドンキホーテか, と自分でも頭の切り替えが出来ていないところもあります. 心機一転,医師としての出直しみたいなところもあり,毎日が楽しく感じられます. 学会が軒並みWeb開催なので, この仕事場の変化に対応するには時間的余裕ができたのも有難いです.
ということですが,この歳(来月になったら後1年で80の大台)でこんな変身をしたので多くの方々がびっくり,心配?されている状況です. それ見てみろ, と言われないように, 日々新たな気持ちで少しずつ進んでいければと思っています.
病院のHP: http://www.shion-hp.or.jp/
病院内のポスターを載せます。
2020年8月7日金曜日
心不全療養指導士制度が始まります
2020年6月15日月曜日
ポストコロナ(With Corona)時代に我が国の医療をどう変革できるか 発想の転換と働き方改革の見直しが必要
ZoomといったWebを通した会議が普通になる中で,今回の3密回避を今後も生かすには無駄なことを避ける勇気が必要であります.真っ先に挙げられるのが病棟回診,形式的なカンファではないかでしょうか. 対面での意見交換でしか得られないことをメディア使用カンファや回診にどう盛り込むかが問われます. ハイブリッド方式が進むでしょうが, その中でどう効率的な意見交換と情報共有が出来るか, 医療情報研究の新たな分野になるでしょうし, これから多職種連携をどう進めるかも改めて問われる課題のようです.