明日の土曜日は表記研究会の年次集会が大宮ソニックシティで開催されます。この研究会は今年で32回になりますが、心臓移植や他の脳死からの臓器移植についての社会的関心がまだまだ熟していない時期に始まっているわけです。当初は基礎研究や海外での移植の経験等が限られた施設から発表されていましたが、現在は年間30例を超えるようになり、実施施設も9施設に増え、また補助人工心臓の進歩もあって、活気ある研究会になってきています。
この研究会は、心不全を扱う内科の理解と協力が不可欠であることから、日本心不全学会のサテライトとして開催されるようになってもう何年も経ちます。今回は大宮で東京女子医大心臓外科の山崎健二教授が会長で開催されます。シンポジュームとして植込み型補助人工心臓の適応拡大が取り上げられ、さらに特別セッションで、明日へのメッセージ、小児心臓移植、が企画されています。
前日、明日の29日には研究会の幹事会が開かれますが、今年は大事な議題があり、代表幹事としても気の抜けいない会議です。というのは、研究会として熱い議論を続けている事項が幾つかあるからです。この研究会は学術面での発展だけでなく、心臓移植を医療として定着させるという社会的使命をもって誕生した背景があります。後者については、この研究会は今では関連する学会や研究会で構成する協議会の一メンバーではありますが、心臓移植を担当する大学や研究施設が集まり、代表幹事としてはまだまだその役割は大事と思っています。
最近の議論なかで大事なものは、テキストブックの編纂、心臓移植適応年齢の変更、小児の心臓移植施設追加認定、移植適応判定手順の簡素化、そして小児心臓移植の普及、などがあります。最初の既に3つは済んでいることで、小児施設では阪大、国循、東大について東京女子医大が加わっています。残る適応判定の簡素化と小児心臓移植の推進が残っています。前者は再開時から続いている適応判定の手順の改訂です。心臓移植は実施施設での適応判定の後は日本循環器学会の適応に関する委員会のお墨付きがないとネットワークには登録できない決まりになっています。しかし、もう総数が180例にもなって成長した時期なので、各施設の判断を尊重して循環器学会は事後検証の役割に移行して行こうというものです。その始めのステップとして、実績のあるハイボリュームセンターから、例えば心臓移植数が50例を超え他施設、適応判定はその施設に任してもいいのではないか、ということです。かなりの時間と議論を経て実施側は了解しているのですが、行政にどうオーソライズしてもらう、最後の詰の段階です。50例でいいとする理論武装が出来るかどうかです。
小児心臓移植の推進はこの研究会の大事な仕事として、関係する学会と連携して進めないといけない重要と考えています。どうしたらいいか、その方策等の議論が出来ればと思っています。小児心臓移植は大人も当然ですが、脳死のドナーでないと出来ない唯一の臓器移植ですから、この研究会が頑張らないといけないと思います。
もう一つは、研究会の学会への移行です。なんでも学会にすればいいというものではなく、また学会が多過ぎるなかで逆行する話であります。日本には別に肺移植の研究会もあります。日本肺および心肺移植研究会です。両者は胸部の臓器で共通することや、心肺同時移植は心臓も関わります。阪大では心臓と肺のグループが緊密に連携して成果を上げてきました。海外では国際心肺移植学会(ISHLT)があってレジストリーでも大きな役割を果たしています。日本は二つの別の研究会となってこれまで実績を上げてきましたが、そろそろ一緒になって活動することも大事な時期になってきたと思われます。今回、その方向性を議論したいと思っています。ということで、今日午後から大宮行きです。大分寒くなりそうですので、暖かくして行こうと思います。では、また報告します。
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