さて、先日紹介しましたが、今回の研究会では植込み型補助人工心臓の適応拡大と小児の心臓移植、の二つメインテーマで熱い議論が行われました。前者では、植込み型が急速に増加していますが、移植適応判定の手続きが完了しないと保険償還が出来ないという縛りがあり、現場では移植の適応にはまず間違いないないが、手続きが済まない段階での装着が求められ、見切り発車もある程度容認さているようです。とはいえ、此処をしっかり押さえておかないと、保険償還で問題を起こしたら今後の適応拡大の話も無くなるので、お互い注意しないといけません。ただ、適応のお付きを絶対とすると、本来植込み型を入れたいが合併症の多い体外式や他の一時的補助を敢えてして後から植込み型にするという遠回りをしいといけないジレンマが生じます。患者さん第一ではなくなるのです。
この辺りの判断の仕方について、東大内科の絹川先生がうまく整理されていた。
即ち、BTT(心臓移植へのブリッジ)の予備候補として、装着して死亡を回避しながら移植適応があるかをその後で考えるbridge to decision、最終判断の為のブリッジ、あるいはほとんど移植適応と言って良いが保険適応の手順が完全でなく植込み型が使えないという BTT-likely(ほとんどBTT)の二つがあり、植込み型の保険適応上の拡大のステップとして使えるのでは、という内容でした。今後の関係学会での議論(12月末開催予定)のたたき台になると思われた。 植込み型に直接行くについては後者はいいと思われるが、前者は植込み型を付けても肝不全とか感染とかの臓器不全が起こり易いので、臓器障害の上限のレベルの設定が必要という議論であった。
一方、移植への橋渡しでない、いわゆる永久使用(海外ではDestination Therapy)についても盛んに議論されたが、永久使用はそもそも移植適応外の高年齢(60とか65歳以上)の患者さんが主な対象となると思われるので、今の移植対象者での各施設の経験からの永久使用の議論は適切ではなく、別の対象について議論がいると思っている。そこで、例えば心不全学会主導で対象者の調査をして決めて行くのが筋ではないかと提案させて貰った。このことは前日の心不全学会総会でも学術活動で進めて欲しいと理事長に要望しておいた。
小児のことについては別に書かせてもらいます。
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