2013年4月8日月曜日

神戸の国際学会二日目

  神戸はポートアイランドでのアジア心臓血管胸部外科学会も成功裏に終わりましたし、海外の方も桜を十分楽しみ、嵐には直撃されず帰られ、主催者ではないですが良かったでした。二日目(土曜日)は朝から看護師セッションが組まれていて、午前中は兵庫医療大学修士を先般卒業した山岡さんも発表していました。阪大病院心臓外科病棟の懐かしい顔もあり、アジアからも多く結構の参加者で、華やいでいました。
  午後は何度も紹介しているNPとかPAのセッションでした。ナースプラクティショナー、フィジシャンズアシスタント、という医師の仕事を一部やっていただく専門の看護師や外科手術などに特化した大学出の診療補助師(米国のPA)の話です。我が国ではつい先般、厚労省が特定看護師制度(仮称)について結論を出したところであり、いいタイミングの企画でした。川崎医科大学種本教授が仕掛け人で、シンガポール、台湾、そして韓国からの報告があり、そのパワーポイントが日本語訳付きでハンドアウトとして配られ、さらに以前紹介したこの分野のリーダーの防衛医大の前原教授と東京医科歯科大学看護学部の先生が座長でした。日本からは聖路加看護大学教員で兵庫医大心臓外科で専門看護師(CNS)として臨床研究を続けている宇都宮さんの発表もありました。
 さて、アジア、特にシンガポールや韓国、台湾では米国式の専門に特化した病院や、1000ベッド以上の大病院がどんどん出来ています。医療保険は国家財政を反映して厳しい条件があるなか、医療を提供するシステム作りはどんどん進んでいます。この3ケ国では全て看護師ですが、診療補助看護師として、医師の仕事に入ってきています。なかでも心臓外科は医師不足や手がかかることから、かかる専門化した看護師さんが活躍しています。我が国ではこのような制度作りでは大変遅れているのですが、看護系大学の先生方は遅れているというより、そういう医師の医療行為は看護ではない、と抵抗されていることは前にも紹介しました。韓国にせよ台湾にせよ、特別の教育と訓練を受けた看護師(advanced practicak nurseとも言ってます)が医療行為や診断分野に医師の監督のもととはいえ、どうどうと入ってきています。ディスカッションでもそこにはチーム医療とかハートチーム、が必要であって、何が問題か、という雰囲気でした。米国はすでに30年くらいの歴史があるのですが、その間違いを皆さんは繰り返さないよう、というコメントもありました。日本もアジアに触発されるとともの、米国の医療制度が根本的に異なるとはいえ、その歴史をよく学ぶ必要があるようです。
  日本では、特定看護師(といっても新たしい制度ではなく、また新しい職種でもなく)でいくようですが、これから厚労省の方針を法律でどう扱うか、が課題とのことです。保助看法を変えるのではなく、現状の中で特定の医行為ができる仕組み、を入れ込む、ということのようです。ただ、これは国会マターであり、いつの通常国会に提出されるのか、今年は参議院選挙があるので微妙とのことでした。今年中に何らかの展開があればいいと思います。ということでこのシリーズは終わります。といっても、今週は福岡で日本外科学会があるので、また学会報告になりそうです。