2019年10月7日月曜日

心臓移植研究会で



長らく記事のアップが出来ていませんでした。何とはなしに89月が終わってしまいましたが、まあ、何とか生き延びてはいます。8月は猛暑、猛暑といいながら、学会活動もなく、だらだらと終わった感じでしたが、9月以降はかなり濃厚でした。ということで、まずは9月の活動報告から始めます。
9月の第2週の日曜はここ何年か毎年の行事になっています、自転車イベントの参加です。自転車、ロードバイクというやつですが、6月は富士山、秋は丹後半島とか淡路島、といったイベントに参加していますが、9月は城崎温泉をベースに神鍋高原から豊岡へと回る周遊120キロです。コウノトリチャレンジライド、です。心臓血管外科医仲間が関東からも集まり、温泉プラス自転車ライドを楽しんでいます。3回目の挑戦で1回目は大雨で途中リタイア(収容車で帰還)、昨年は何とか完走。今年もそれなりに準備していきましたが、やはり体力も落ち、さらにかんかん照りの猛暑、坂登りに入る前、熱中症になる前に早々にリタイアでした。これは正解で、今回はかなりの人がリタイアしたそうです。とはいえ、歳を考えもう無理は出来ないなということです。
その後は、タイはバンコクでの医療機器フェアに神戸市医療産業都市機構のお供で参加してきました(チラシ参照)
。関西の医療機器関係の企業17社が大阪グループとしで参加していました。かなりしっかりした国際展示で、何かビジネスチャンスはないかと、色んな国の方が集まっています。日本からの出展企業は関西以外に福島県、東京、も参加していましたので、自分なりに興味ある企業の方と医療現場でのニーズ絡みで面白い話も出来ました。心臓シミュレーション用に使えるシリコンモデあるもありましたし、補助心臓のドライブライン感染防止に使えそうな医療フィルムとか。全体では心臓外科といった個別の分野ではなく、介護支援とか滅菌消毒とか、医療器の素材など、多様で、中国は勿論のことアジアの国々の医療産業への熱気が感じられました。バンコクは学会で行ったのはもう20年以上前のことですが、街は綺麗になって電車も整備され、様変わりでした。観光無しの3日間でしたが、医療機器開発の今後の活動に刺激になったようです。




さて、10月には入って学会シーズン到来ですが、まずは日本心不全学会が広島で先週行われました。以前は堅い話ばかりでしたが、最近は心不全パンデミックと言われる慢性心不全への対策に熱気が感じられます。多職種連携が必須となり、参加者は医師以外に看護師、理学療法士など多彩で、多いに賑わっていました。兵庫医療大学のリハビリテーション学部の4期生が声をかけてくれて、発表も聞いてきました。心臓リハで頑張っていました。
同時に、日本心臓移植研究会も例年この学会のなかで行われる様になっていて、そこでいろいろ重要な事項もあって参加してきました。と言っても、今回は若手が何をしているのかな、といったものではなく、研究会の一般演題に応募して発表してきました。今さら年寄りが何を血迷ったか、認知症か、という周りの心配もあったかも知れません。その話しをしっかり書かせてもらいます。
またまた心臓移植の話しですが、いろいろ懸案事項のなかに当然ドナー不足はあるのですが、ここ数年の私の関心事は提供者(ドナー)の方の心臓という臓器をレシピエント(希望者、待機者)にどう配るか、という話しです。 20年前に決めたルールがあるのですが、全く触られていなくこれまで来ています。何故改定しないかは複雑な背景がありますが、心臓移植が年間100例に近づこうとしているなかで待機中に死亡する(移植に行かずに)方減るどころか増えつつあります。海外では、待機中の死亡リスクを調べ、待機中死亡を少しでも減らすようシステムを進化させていますが、我が国はガラパゴス島です。
この問題は移植関係の現役の人たちにはなかなか踏み込めないところがあるようなので、暇にしている年寄りの出番としました。日本臓器移植ネットワークというところがすべて所掌しているのですが、そこに依頼して心臓移植待機中死亡を分析してもらいました。これは私だからやってくれたのではなく、制度に則りデーター活用依頼をして、進めた話です。ただ、統計解析は私の環境を考えてもらってネットワークですべてやってもらいました。有り難いことです。その結果を、どう公表するかと考え、研究会に一般演題で応募したということです。学会の当番会長である九州大学心臓外科の塩瀨教授にもご理解頂きました。
内容は、専門的なこととして臓器配分システム(優先度)の見直しに繋げてもらえれば初期の目的は達するのですが、もう一つ重要なことがあります。それは一般社会の方々に、心臓移植は徐々に広まっているが、その陰で如何に多くの方が無念の死を遂げているかを知ってもらい、臓器提供への理解が深まれば、ということであります。そのキーとなるスライドをここで紹介させてもらいますので、多くの方に見て欲しいと思っていますい。5月頃から始めたこの自分なりのプロジェクトですが、実はこの夏は結構これにかかり切りで、今は論文に纏めながら、やっと一息ついている、という状況でもあります。若干の達成感ですが、自転車と共通するところはなさそうです。
ということで、9月と10月の流れを紹介しました。



      補足:このスライドは心臓移植の年間数とその年の待機中死亡を並列で示しています。毎年移植数(青)の半数以上に匹敵する数の移植に至らない死亡(赤)が続いているということです。