2017年4月14日金曜日

ガラパゴス化

4月も半ばに入って近くの桜もそろそろ散りかけているようですが、今週末はまだ楽しめるかと思っています。とはいえ札幌では雪が降り、関西も朝夕はまだ肌寒い日が続いています。さて、このところの世界情勢は混乱状態で、かっての東西冷戦時代の再来かと思われる緊迫もあり、北朝鮮の核兵器や化学兵器の驚異もエスカレートしていく中で、我国の外交でどういうアイデンテイテイーを示すのか、大変難しい問題です。といって、憲法改正ありきではなく慎重にすべきと思いますが、この世界情勢における日本の立場はどうなるのでしょうか。国連の核兵器禁止条例には唯一の被爆国の日本が不参加に回ったことは個人的には大変な残念でありました。外交もトランプ政権に振り回されているのでしょうか。
さて、表題のガラパゴス化ですが、最近の新聞のコラムであることについてこの表現が使われていました。私は最近の身近なことでこれを引用したいことが二つあります。一つは受動喫煙防止対策であり、もう一つは何度も書いている医師の専門医制度です。世界から、そしてグローバルスタンダードから取り残され、井の中の蛙的な状況に黙っておられない心境です。

受動喫煙がこれほど野放しになっている先進国はない。受動喫煙が、喫煙で吸い込むより危険な科学物質を撒き散らし、周りの大人や子供が間接的に健康被害を生じること、喫煙自体が発がんの原因になる、という科学的に明確な根拠が我にでは無視されている。タバコは嗜好品だとおっしゃる偉いさんは、タバコ中毒、ニコチン依存症である、ということを信じないか無視しておられる。タバコ関連事業からたくさんの税金が入ってくるからいいじゃないか、と財務大臣が国会で述べられていた。喫煙と受動喫煙による健康被害で使われる医療費をタバコの少しの税収と比べるのも愚かである。

今回は東京パラリンピック・オリンピックに合わせて何とか国際水準に持っていこうと厚労大臣が率先して健康増進法を改正しようとしている。このチャンスを失えば向こう何十年もこの状態が続くであろう。WHOの方がこられて厚労省案でも世界では最低のレベルである、と警告されても自民党議員のかた(反対派)には馬耳東風。小さな飲食店がたくさん倒れる、というが世界では一的にはお客さんが減るがすぐに回復することが実証されている。我が国でも完全禁煙の店にしか入らない、という人々も増えている。喫煙可能な飲食店での子供さんや従業員の健康被害はどうするのか。今日の新聞では、自民党が難色を示し部会での審議もできないという。受動喫煙対策でガラパゴス化しないよう、厚労省は決して怯まないで頑張って欲しい。ガラパゴス化した国での東京オリンピックは危険な煙でくすぶってしまう。東京だけの問題ではない。健康被害は目に見えないが、何十年か後には病気が発生する確率が高くなる。タバコは臭くても最新の臭い消しで対処しよう、という広告が目に付く。国民的人気アスリートの宣伝に惑わされてはいけない。

医師の専門医制度は何度も書いているが,今回の改訂で修練制度において何とかグローバルスタンダードに近づけよう、という関係者の努力はどこかに行ってしまった。これまでの制度でも確かに個々の医師のレベルや学術レベルは世界に向けて引けを取らないし進んでいる。しかし、これを一部ではなく標準レベルにおいて、質の担保を図ろう、卒後教育を効率良くしよう、という趣旨が大きく壊れてしまっている。若手や中堅の医療現場の医師自身が、挑戦しない、現状維持を好む、というスタンスでは、医学教育と共に卒後生涯教育においてガラパゴス化していくと危惧している。リーダーはポピュリズムとは離れるべきである。ハワイ大学の町教授は,日本の医学教育は鎖国状態と言われていたのを思い出す。

ということで、二つのガラパゴス、を紹介した。良いガラパゴスはないと思うし、進化が停滞する。 日本にはまだまだガラパゴス状態が沢山ある。先週は米国で国際心肺移植学会があり参加してきたが、移植医療では日本はまさにガラパゴス島でありガラパゴス化ではない。臓器移植法制定後、今年は20年目を迎える。感慨に耽っている状況ではない。今日も移植待機中に亡くなられる方がおられるかもしれない。

          16日、夙川の桜です.まだ結構残っていて温かくいい日和でした。