2013年7月16日火曜日

続:小児臓器提供

 7月14日の朝日新聞で、表記の記事があった。小児臓器提供施設として登録されている367施設へのアンケートの結果である。 法改正後、50例近くの候補事例があったという。小児の提供ができる施設214施設に加えて大人の提供施設にもアンケート送っている。
 12施設で23件の脳死の事例があったとし、提供に至らなかった理由が分析されてる。
家族からの提供の意思表示があったケースは15件で、7件はその後に撤回されている。その理由はいろいろあるが、種々の手続きが重くのしかかっている。家族内での同意のまとめ、虐待の有無の調査、などである。特に後者では、児童相談所への照会が必要で時間がかかること、家族への負担がある、などである。その他、報道された後のことの心配もあった。家族が「こんなに手続きがあるんですね」といって提供を断念したケースもある。
 虐待については、児童相談所への何らかの相談があった場合は一点の曇りをなくする、となるとできない、と現場は言う。その他現場では、小児の脳死判定の経験がない、専門に対応できる医師などの人材不足、虐待に対する院内体制不備、などである。
  以下私見です。全体によく分析しているが、最後には相変わらず、移植へ批判的な意見も添えている。朝日はしっかり自分の意見を出すべきではないか。
 そして、結果は正に「角を矯めて牛を殺す」、ではないか。何とも日本的で規則の運用ばかりに目が行って、心が通じていない。せっかくの法律を行政とマスコミが袋小路へ追いやっているのではないか。最後にいくつかの意見が紹介されているが、「善意は尊いが、人の死を期待する医療は正しいのか」とある。前回の米国で子供さんが心臓移植を受けた家族の話を聞いてほしいと思う。移植待機患者や家族の気持ちを理解できない、理解しようと思わない医師がいる。脳死は人の死で、イコール臓器提供ではないこと、臓器移植は世界で定着している科学的に認められた医療であることを、少なくとも医学会が同じ認識をし、医学教育でしっかり教えてほしいと思う。
 補足ですが、やはり脳死を全般的に人の死とする法律がいると思います。尊厳死も法的に認められないと、救急医療の現場での混乱、苦悩が続くと思います。