2013年12月24日火曜日

 本邦2例目の心肺同時移植実施

 本日朝の新聞に、本邦2例目の心肺同時移植が阪大病院で成功裏に行われたというニュースが出ました。昨夜にA紙の記者から電話があり、コメントを求められ少々びっくりしました。いくつかのポイントの中から、技術的には難しい移植で、肺の癒着があれば特に大変であることや、臓器の虚血時間が長くなること、拒絶反応の診断が難しくなること、そして移植手術自体から後の管理で心臓と肺の移植チームの連携が問われる、という内容を話し、要点が紹介されていました。心肺移植は癒着剥離が大変で、大量出血や大量輸血は予後に影響するのですが、病気が第1例のような先天性心臓病に伴う肺高血圧ではないので今回は癒着剥離はそう問題ではないと思うとも伝えていました。かっては気管吻合が上手く (縫合不全が起こらない)行くかが成功へのキーでしたが、今は技術的にこの問題は克服されていると思います。臓器虚血は実際どのくらいになったのか分かりませんが、多分そう問題にはならなかったと思います。岡山大学の佐野教授もコメントしていたように、拒絶反応は心臓と肺で別々に起こるので、診断や治療が難しくなります。阪大チームもこれからが正念場ですからしっかり頑張って欲しいと思います。
心肺同時移植は世界で最初に成功したのが1981年(心臓に遅れること14年)で、その後これまで世界では約4、300例に行われています。当初は年間300例近く行われていましたが、ドナー不足や成績があまり良くないことで、最近は年間6-70例減ってきています。また、移植後の合併症が多く、世界の統計では1年3年7年の生存率はそれぞれ60%、50%、40%と、心臓や肺単独に比べ劣っています。ただ、日本では最初の例が既に移植後4年近くなります大変元気にされていますし、心臓や肺と同様に世界の成績より優れた成果を今後も上げてくれると期待しています。
心肺移植に使われなかったら、別の3人への移植が出来た(心臓、片肺x2例)ということにもなり、ドナー不足のなかでは厳しい患者選択になりますが、我が国の心肺移植の患者選定基準はかなり厳しくなっていて、周囲の納得が得られるものと思います。何れにせよ、臓器提供されたドナーの尊いご遺志と家族の活断に敬意を表します。また提供病院の方々も大変だったと思いますが、ネットワークや他の臓器の関係者に移植医療の素晴らしさを示して頂き、僭越ながら感謝申し上げたいとます。改めて臓器提供の尊さを思い,ドナーのご冥福をお祈りいたします。