2014年3月25日火曜日

 日本循環器学会

 先週の後半は東京で第78回日本循環器学会が開催されました。東京大学循環器内科教授から現在は自治医科大の学長の永井良三先生が会長です。有楽町の国際フォーラムが主な会場でしたが、何しろ世の中は春休みの3連休であり、新幹線や東京駅はごった返してました。学会での発表や司会などの役割は何もないのですが、会議を一つ入れたのと、専門医資格の更新のための学会出席登録が主な目的でした。   
  専門医は、外科、心臓血管外科、そして循環期内科、の3つを持っていたのですが、外科専門医と心臓血管外科専門医は連動していて過去5年間の手術参加症例が100例を満たさないと更新できなくなり、昨年に両者は終わりました。ただ、循環器専門医は維持したいので、学会出席単位取得のために参加したと言っても良いくらいです。勿論、いくつか興味ある講演やデイべートセッションは参加してきました。何しろ内科の学会ですから心臓血管外科のセッションもあるにあるのですが、限られています。心臓外科医も沢山来ていましたが,多くは専門医更新のための出席では、と思われました。学会出席といてもお金を払って参加証をもらい、専門医受付のところで手続きをすれば単位(全部ではありません)をもらえるのですから、ある意味形式だけのものです。新しい制度での更新要件についても何らかの踏み込んだ内容を伴う単位認定が求められるのではと思います。
    海外からの沢山の招請講演がありましたが、マルファン症候群の話に興味があったので聞いてきました。マルファン症候群は血管壁の構成成分(結合織)を作る遺伝子の異常によるもので、遺伝性で、大動脈瘤,特に解離性大動脈瘤を来しやすい特徴があります。長身で手足が長いなどの特徴ある外見と血管異常があり、リンカーン大統領がこの病気であったのでは言われています。大分以前ですが、米国から来ていた有名なバレーボールの女子選手(背が高い)が試合中の倒れて死亡しました。米国で遺体を解剖したら解離性大動脈瘤の破裂であったということで、同選手はマルファン症候群であったのではと想像されます。
    マルファン症候群は遺伝性ですが、原因遺伝子の異常(フィブリリンやある種の癌抑制遺伝子)も明らかになり、血管作動ホルモン受容体の拮抗薬(ロサルタン)や癌抑制遺伝子異常(TGF-β)のタイプではその蛋白異常をターゲットにした薬物治療(予防)も進んでいます。今回の演者は、マルファン症候群の亜型とも言われているLoeys Dietz(ロイス・ディーズ)症候群の発見者であるDietz博士でした。マルファン症候群について基礎から臨床へと大変わかりやすいまた最新の知見を示した素晴らしい講演でした。異常蛋白を標的にした予防的治療の進歩も目覚ましいことが分かりました。大動脈瘤外科に関与する心臓血管外科医として一つ勉強になったことがあります。この症候群の女性が妊娠出産した時には血圧が上がったり下がったり変動するので、破裂の危険が知られています。博士の講演では、マルファン症候群マウス(ちゃんと出来ているのです)の実験で、出産した後に子供に授乳させる群とさせない群に分けると、授乳群で高率に解離が起こって死亡するというのです。授乳に関するオキシトシンというホルモンが関与するということも突き止められていました。臨床では実際に出産後に解離が生じて死亡することも分かってきたそうです。マルファン症候群の患者さんで出産がすんで安心したらいけない訳ですが、赤ちゃんを乳母さんに預けることも出来ませんから、オキシトシンの分泌を抑えながら注意深く経過を見る,ということが求められるようです。講演の内容を全て正確に聞けたか怪しい所もあるかもしれませんが、その場合はお許し下さい。  

  学会中にあったセッションで紹介したいのは、同学会心臓移植委員会主催の第10回心臓臓移植セミナーです。今回は、「ネットワーク登録と補助人工心臓使用の現状と問題点」、でした。この話は次回にします。

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