2015年2月13日金曜日

ドナー情報、その後


   先月、臓器移植におけるドナー情報の在り方にコメントを出した。ご自分の子供さんが心臓移植待機中に脳死となり心臓以外の臓器の提供をされた後、ご両親がその心のうちを公表したことを契機に浮かび上がった問題である。小児用補助人工心臓の使用が限られていることと共に、ドナー情報はあくまで表に出さないのか、特に名前の公表について議論が起こった。

その後、地元の神戸新聞の記者から関連する課題の背景などについてインタビューを受けた。その内容を含めた記事が先日出たが、その中で、私の意見として、「いつまでたっても親(厚労省)から離れられない。移植医療の後退を感じる」と私が苦言を呈したことが紹介されている。(2月8日の日曜小論;臓器移植は誰のため? 慶山允夫記者)

一方、昨日の毎日新聞では(212日の朝刊第2面に)ニュース再生という欄であるが、今回の事例の解説記事が出ていた(吉田卓也記者)。「臓器提供 実名公表に自粛、患者の負担回避」とある。内容はこれまでの脳死臓器移植の我が国における経緯を紹介し、何故ドナーが特定できないようになっている背景を解説し、また今回の事例の内容も再度紹介している。記者が訴えているのは、「個人が特定されないように配慮しながらも提供者の思いを社会に伝える方法について議論する必要があるのでは」、というものである。

この二つの記事は、我が国の臓器移植がドナー不足という難しい状況にあるなかで、臓器提供について社会の理解をより深め、移植医療を前向きに進めて行くためにはどうしたいいか、をジャーナリズムの目から問いかけていると思う。

これまで臓器移植でのマスメディアの対応を見ると、ドナー情報についても含め、基本的には記者が独自に得た情報を先に記事にする、というスタンスがあったと思う。そして一時的なことで終わっている。この際、継続的に移植医療について意見を発信しながら、移植医療の啓発にもマスメディアが参加されるようになればいいと思う。また移植医療に携わる側も課題解決に向けた継続的な努力が求められる。

なお、小児の補助人工心臓の早期承認についての関係学会から国への要望書は近いうちに提出されるようである。
 
 記事は地域紙の神戸新聞のみ紹介する(2月8日)