2015年2月23日月曜日

シミュレーター看護研修、その後


 私が理事長を務めています神戸国際医療交流財団では、人材育成事業の一環として患者シミュレーターを用いた看護研修を始めています。昨年秋より始めて先週で3回目でした。昨年11月に開始したおりにこのブログで紹介していますが(26年11月17日)、その後の経過報告と言ったところです。
我々の持っているシミュレーターは高機能という名前がついていて、バイタルサインの把握が出来る全身型の人形です。種々の疾患や臨床場面を想定したシナリオを設定できるものですが、まずは手始めとして、チーム医療のための看護実践スキルアップ研修、というタイトルを付けて始めました。土曜日の午後の4時間コースで、毎回6名前後の参加を募って計3回行いました。中堅病棟看護師さんが病棟で患者さんの容態がおかしくなったときにどう対応するか、というのが基本シナリオです。初回と第2回は病棟の個室で低血圧を来した患者さんへの対応でしたが、3回目は呼吸障害のある患者さんが急に意識状態が落ちた場合を想定しました。新人看護師が病室訪問したらの意識レベルが落ちていることに気がついて中堅看護師を呼ぶのですが、この中堅看護師が、一次評価で状況を迅速に把握し、2次評価をして医師を呼ぶという流れです。
各参加者が人形を患者さんと思って、バイタルサインの把握から次ぎ何をすべきか、チームとして新人看護師にどういう指示をして、どのタイミングで医師を呼ぶか、といったことを迅速に判断しないといけないわけです。他の参加者が前で観察している中での演技?なので、皆さんかなり緊張されます。でも大事なのはファシリテーターの助言でもって皆さんで議論することです。正解を求めるのではなく、採点されるわけもなく、楽しいなかで何かを持ち帰る、自信がついて帰ってもらう、というところが目標です。ファシリテーターの役割も大事ですが、私はドクターコールで呼ばれる当直医の役割で、病室に着いた時に看護師さんと一緒に病態の把握と対応を考えるべく、最小限の発言(質問)で終えています。チーム医療のためと銘打っているところを思いだしながら、私もコンピューターの操作だけでなく、一緒に参加しているという気持ちで楽しみました。
現在、学部のみならず生涯教育としての看護教育がシミュレーターを使って盛んに行われています。一つのブームと言っても良いでしょう。新人看護師を対象としたものや救命処置を主としたものが多い中で、アドバンスコースとしてNP(ナースプラクティショナー)教育もあるようです。我々は中堅の仲間入りをしたばかりでまだ独り立ちが心配な看護師を想定して始めました。チームとしてはまだまだ駆け出しですが、これまでの3回を振り返って、今後どう進めるか考え、スキルアップして進めていきたいと考えています。乞うご期待といったところです。

近隣の兵庫県の公立や私立の中規模病院から参加を頂きましたが、終わった後の感想などを追って紹介したいと思います。

追伸:

参加者の方々の一番印象に残ったこと、への回答例です。

l  メンバーと共に患者に起きていることを予測しながら観察することは何かが理解できた。
l  シミュレーションを通しての実践が緊張感もあり良い経験となった。
l  迅速評価~二次評価が大切であることを学ぶことができた。
l  急変時に状況把握やどのように動くかばかり考えてしまい、アセスメントして予測をたてるということが出来ていないことが分かった。
l  リーダーとしての自分自身がパニックになると、普段見えていることも見えなくなることに気付いた。
l  今まで急変時対応はパニックになってしまうことが多かったのですが、迅速評価⇒二次評価とステップに応じた対応を行っていくことの大切さを学びました。
l  Dr.への報告での「SBAR」のまとめ方は今後に生かせるように思いました。
l  相手に分かりやすく伝わりやすい報告、自分のアセスメントもふまえた報告を心がけることで医療現場でのコミュニケーションが円滑になり、患者さんが不利益になってしまうことや事故も防げることを学びました。

Ø   SBAR: Situation(状況), Background(背景や経過), Assessment (判断)Recommendation(提案や依頼)、としてまとめて報告する。

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